• らび

おはなし【 春の星 】



ある晩 鈴の音がしゅりんと鳴りました

それは小さな小さな音でした

うさぎは左耳をぴくんとさせながら言いました

流れ星がくるよ

しゅりん 

二つ目の鈴の音

しゅりん

三つ目の鈴の音

二匹の部屋の曇りガラスには金色の光の玉がいくつも写っていました

きつねが言いました

たくさん来た!

二匹は外套を羽織り急いで外へ出ました

真っ暗な空から金色の光の粒が土砂降りの雨のように降り注ぎます

あっちだ!

二匹は光が落ちる方向へ急いで走りだしました

二匹が走るたび 真っ白な白い息がもくもくと体にまとわりつきます

呼吸が早くなるともくもくもたくさんになって

吐いた息は空の雲と一緒になりたがり

上へ上へと昇ろうとするのでした

二匹の走る足はいつのまにか宙を走り

ふわふわと光の落ちる方へ飛んでいきます

冬は浮かびやすいね

うさぎは笑っていいました

白い息は少しずつ雲の方へ昇っていきます

息が足りなくなると二匹は呼吸を早めて真っ白な息を補充しました

そうしている間に湖に出ました

降り注ぐ光はそこらじゅうの木にいくつもいくつも引っかかり 周りを明るくしていました

夜の湖に真っ白な鳥が空から降る光に向かって鳴いていました

真っ白な鳥は光を浴びて興奮しているのかその鳴き声はだんだん大きくなり お互いの鳴き声に反応してはまた鳴きます

うさぎときつねは世界が高まっていくのを感じました

白い鳥たちの中でもひときわ大きな鳥が一番大きな声でひと鳴きすると大きな翼をばたばたとはためかせました

そして他の鳥たちもばたばたと羽を広げます

光が落ちてくるのがやむと同時に白い鳥たちが鳴きながら水面を助走し次々と空へ飛び立ちます

湖の上を旋回し 急降下したかと思うと雪の毛布を口々にくわえ 北の方向へ飛び去っていきました

うさぎときつねはその時 春の訪れを知りました

木に引っかかった星を一粒 口にいれるとカラカラ鳴らしながら家に帰りました

パイナップルの味だね

うさぎがいいました

雪の毛布が取り去られた地面ではふきのとうがほんの鼻先だけ出してくしゃみをひとつしました


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