• らび

ともしび横町の住人

最終更新: 2019年9月9日

←第1話ともしび横丁の住人【まじっくあわー】


ともしび横町にあるともしびの塔にはみんなのともしびが集まっているのでした ぷすんぷすんは灯台守の見習い ケムリは今年3256歳になるベテラン灯台守です 二人はともしびの塔の236階に住んでいました 朝から晩までともしびのお世話をして暮らしています

灯台守の仕事はこうです 一つめはともしびの塔に灯っている大きなともしびを蝋燭に移す作業 そのともしびが消えそうになったら次の蝋燭にともしびを移す作業が二つめ ともしびの塔にともしびを取りにきた人がわかるようにともしびをある程度分けておくことが灯台守の主な仕事でした

ぷすんぷすんは一日に何度も蝋燭に移したともしびを消してしまうのでした 蝋燭の芯のおわりを見たい好奇心に負けてしまうのです 儚くドラマチックな芯の終わりを見届けた瞬間ぷすんぷすんはハッと我にかえりとても落ち込むのでした

そんなぷすんぷすんにケムリは 「ともしびの塔から新しい蝋燭にともしびをとっておいで」 いつもそれだけ言いました

ぷすんぷすんは新しい蝋燭を手にすると一目散にともしびの塔を駆け上がっていくのでした みんなのともしびはとても太くて大きな火でした そこからちいさなともしびをひとつ取り出す作業は見習いのぷすんぷすんにとっては大変難しい作業でした

ちいさなともしびは唯一無二のともしびです

ぷすんぷすんは手にした蝋燭を大きな火に注意深く差し出します 蝋燭がとけてしまわないように細心の注意を払います オレンジの暖かい炎は塔の内側で力強く燃えています 塔の内側には大きなろうのプールができており そのプールに落ちたらいっかんの終わりです 差し出した蝋燭と大きな火がお話をするとやがてその中から唯一無二のちいさなともしびが蝋燭の芯に染み込んだろうを使って移動します ベテラン灯台守ケムリならほんの数秒で終わる作業もぷすんぷすんの手にかかれば30分も一時間もかかってしまうのでした

そういうわけでぷすんぷすん はいつもすすだらけで真っ黒でした

おいらいつまでまっくろけなんだろう

ぷすんぷすんが小さくつぶやくとケムリは言いました

ぷすんぷすんがまっくろけを卒業したら今度はわしみたいにモクモクになるんだろうかね わしはいつからかいつもモクモクだよ

ケムリはいつもモクモクしていました 時にはケムリの顔が見えないくらいモクモクになります そんな時は決まってぷすんぷすんがケムリのまわりのモクモクをとってあげるのでした

モクモクの中はどうなってるの ぷすんぷすんが聞きました

モクモクの中はモクモクじゃ  モクモクしてなーんにも見えやしない ケムリが答えます

モクモクでなーんにも見えないと怖い? ぷすんぷすんが聞きました

蝋燭のともしびが消えたってへっちゃらぴ ともしびは簡単には消えぬ ともしびの塔のともしびが燃えてる限りへっちゃらぴーなのだ なーんにも見えないっていうことは全部見えてるっていうことなのだ だからモクモクしててもへっちゃらぴー

ケムリがそう言った次の瞬間にはケムリの姿はもうモクモクで見えなくなっていました

ぷすんぷすんは小さな蝋燭の芯の倒れるのを見届けると一目散にともしびの塔を駆け上がっていきました



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